豚骨醤油味噌ラーメン

いろいろ書きます。

「あの人は変わってしまった」について

 

 

 

「あの人は変わってしまった」というセリフは、だいたいにして悪い印象の言葉として使われているように思う。

 

これって、よく考えたら不思議だ。

だってなんだか、「変わることそのもの」が悪いことのように言っているセリフだからだ。

 

 

たとえば、今まで商売っ気のまったくなかったあの子が、ネズミ講を始めた。

変わってしまった。

 

今までどちからというとナチュラルで天然素材なワンピースを着ていたあの子が、バリバリの高級なスーツを身につけ、真っ黒なピンヒールを履いて街をコツコツ音を立てて歩くようになった。

変わってしまった。

 

今ままで一人ぼっちで教室の片隅にいたあの子に、友達ができて、今まででは考えられないような明るい笑顔で笑うようになった。

変わってしまった。

 

逆に、その子が道を歩けば、四方八方からわらわらと人が集まってきて、いつも集団の中心にいたあの人が、今は人目を避けるように、こっそりと一人で生活しているようだ。

変わってしまった。

 

そういうのを、まるで悪いことのようにいう人って結構いるんだな、と、これまで生きてきて結構びっくりした。

 

なんで?別に変わってよくない?

 

変化って、そもそもにして、必ずしもその人が望んだから起こることでもないような気がする。

 

ネズミ講を始めたあの子は、生活に困窮して、藁にもすがる思いで始めたのかもしれない。本当は心を開ける友達が欲しかったけど、ネズミ講セミナーで生まれて初めてうまく心を開くことができたのかもしれない。

 

ナチュラルで天然素材なワンピースをきていたあの子は、それで軽んじられて扱われるような出来事に遭遇して、「ちょっとでも強そうな服装」をしないと、怖くて道を歩けなくなったのかもしれない。

考えたら、可能性は無限大にある。

 

「あの人は、変わってしまった。残念だ」と言える人ってもしかすると、これまでの心象風景が歪み、「今までの私ではいられない」と思うような決定的な出来事には遭遇したことがないんだろうか?それとも、自分では自分の変化に気がつけていないんだろうか?

そこのあたりのところが聞いてみたい。

 

「いつも同じパターンを繰り返す人」が、安心するのはわかる。

 

たとえばアニメ、小説。

 

彼らは画面の中で、あるいは紙面の中で、ひらけば毎回まったく同じ動きをして、同じセリフを話し、同じタイミングで泣く。

 

「予測できること」は安心するのだ。怖くない。

変化が怖い人(自分自身の変化に限らず、周りの変化をも含めて)は、「予測できないこと」が多分怖いんだろうな、と思う。

 

他者の介入によって、ルーチンが壊れる。

 

たとえば、朝、駅のホームの売店で新聞を買うと決めていたのに、売店が閉店してしまった。

 

それによって、ショックを受ける度合いは、人によって違うだろう。

 

「ふーん、なら駅に入る前のコンビニで買うか」とすぐに気持ちを切り替えることができる人もいれば、「あの駅の売店で、平日に新聞を買い続けて2年、毎日、毎日そうしてきたのに。あの新聞はあの売店で買わなければいけなかったのに。ショックだ」と立ち直れない人もいるだろう。

そこから発展して、「どうして売店が潰れるんだよ」と怒りを覚える人もいるだろう。

売店だって、経営が立ち行かなくなったから潰れただけかもしれないのに。

 

とはいえ、私も別に環境が大きく変化することが好きなタイプではない。地元に帰ったとき、子どもの頃に通っていた雑貨屋さんが潰れてしまったのを見つけたら、一年くらいたまに思い出しては、「あぁ、あそこ、潰れちゃったのか」と凹んでいる。

 

確かに変わっていくことは悲しい。

 

けど、人も街も、いつまでも同じというわけにはいかない。

 

この話で何が言いたいかというと、「変わっちゃったね」と言われると、私はけっこう傷つく。

それは多分、私ができなかったことをできるようになるように、意識的に変えようとして変えることに成功した(成長した)部分を、喜んで受け入れてもらえなかった悲しさと、「私だって別に変わりたくて変わったわけじゃない」という部分に対する、共感がないことへの悲しさだろうな、と思う。

 

傷つくっていうか、「これから乗ろうとしている新しい波」に乗ることが、変わろうとしている本人だって怖い、ということもあるだろう。そこに、「変わっちゃったらやだよ」という人が現れると、その、奮い立たせた勇気がしゅるしゅると音を立ててしぼんでいくような感じがするのだと思う。

 

まぁ、なんにせよ、結局自分の人生は自分のものだから、他の人が何を言おうと、自分の決めた道を歩くしかない、って結論になるんですけどね。